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平和賞 海外から「祝意」と「連帯」 広島のNPO法人にメッセージ続々

 ノーベル平和賞の日本被団協への授与決定を受け、広島市中区のNPO法人ANT-Hiroshimaに、海外から祝意と連帯を示すメッセージが相次ぎ届いている。ANTは前身の市民団体時代から30年以上、被爆者の声を世界の市民に届ける草の根活動を続けてきた。渡部朋子理事長は「連帯の声にヒロシマが呼応していかなくては」と気を引き締める。

 メッセージは、ノルウェーのノーベル賞委員会が発表した日本時間の11日夕刻から交流サイト(SNS)やメールで届き始めた。祝意と共に核兵器の問題をわがことと捉え核兵器廃絶に向けた決意や具体的なアイデアが記されていた。

 送り主は、これまでANTと交流があった欧米や韓国など5カ国以上の市民団体メンバーら。過去にANTでインターンをしたり広島に学んだりして被爆者の話に耳を傾けた人々だ。米国の大学教授からは学生の広島への派遣、イタリアからは被爆者の歩みを伝えるANT発行の冊子翻訳の申し出もあるという。

 渡部さんは日本被団協へのノーベル平和賞授与決定を、「亡くなられた人も含め、多くの被爆者の地道な運動やそれを支えた人々の存在あってこそ。長い時間をかけ世界の人々に地下水のように染み込んでいた被爆者の意志が今、くみ上がっている」と受け止める。

 その上で「原爆投下や戦争の誤りに対する責任を国家に求めると同時に、人間の視点から核兵器の非人道性を伝えてきた被爆者の非暴力運動を私たちは再確認し廃絶へ戦略を立てていかなくては」と決意を新たにしている。(森田裕美)

(2024年10月21日朝刊掲載)

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