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[被団協ノーベル平和賞] 「ガザ」憂う発言 世界で反響 箕牧さん「80年前の日本と重なる」

SNSで拡散 イスラエル大使反発

 日本被団協へのノーベル平和賞授与が11日に発表された際、代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(82)がイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザについて「子どもが血をいっぱい出している。80年前の日本と重なる」などと発言をしたことが世界で注目されている。交流サイト(SNS)で拡散される中、イスラエルのコーヘン駐日大使は批判を発信した。(金崎由美、小林可奈)

 発端は、広島市役所内で受賞決定の一報を聞いた箕牧さんの発言。テレビ出演でも、原爆被害の実態とともに死者が既に4万2千人を超えるガザでの子どもの犠牲に言及し、ガザ支援団体も受賞に値するなどと語った。

 中東や欧米のメディアが報じるとSNSで広まり始めた。中東の衛星テレビ、アルジャジーラの「X(旧ツイッター)」の英文投稿の閲覧数は現時点で約440万回に上る。市民からも、箕牧さんと田中熙巳(てるみ)代表委員の写真を取り違えた投稿も含め、さまざまに拡散されている。

 13日までにコーヘン大使が反応した。ハマスに拉致された子どもの写真と併せ、「ガザと80年前の日本との比較は不適切かつ根拠に欠けている」と日本語でXに投稿。同時投稿した英文は「不適切かつ根拠に欠けている」の部分が「outrageous and baseless(言語道断で事実無根)」で、より感情的な語調だ。

 一方、各国からの「X」の投稿を見ると、箕牧さんの発言について「思慮のない比較をすべきでない」との批判もあるが、「ガザのため語ってくれてありがとう」といった評価が多数だ。

 箕牧さんは家族を原爆に奪われ辛酸をなめた「原爆孤児」たちに、被爆者として強い思いを寄せてきた。「SNS上の反応は知っている」とし「ガザに限ったことでない。全ての国や地域で、戦争の犠牲になるのは罪のない子どもだと訴え続ける」と話している。

(2024年10月19日朝刊掲載)

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