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被爆者救護の歴史+酒造りの繁栄 美術家が写真で表現 来月2日 東広島で撮影 被写体協力者募る

 東京を拠点に活動する美術家の宇佐美雅浩さん(52)が、東広島市をテーマにした写真の企画を進めている。米軍による原爆投下後に救護に向かった人々や酒造りの繁栄を1枚の写真で表現する。11月2日に酒蔵通りの西条本町歴史広場周辺で撮影する予定で、被写体になる協力者を募っている。(石井雄一)

 宇佐美さんは仏画の曼荼羅(まんだら)に着想を得て、人物を中心にさまざまな問題や社会的背景をすくい取る写真を撮影してきた。2014年には広島市中区の原爆ドーム前で被爆者の人生を表現する写真作品を発表した。

 今回の企画は東広島市の市制施行50周年を記念し、市立美術館が来年2月から開く展覧会の主要作品として依頼した。被爆者を救護した歴史と、酒造りに代表される東広島の現在と未来を左右で対比する構図を想定している。

 中心には、原爆投下後に救護に向かった賀茂高の前身の賀茂高等女学校に当時通っていた女性を据える。西条からも見えたというきのこ雲の写真も配置する。

 宇佐美さんは酒蔵が並ぶ駅前一帯の赤瓦や煙突に感銘を受け、歴史広場を撮影場所に決めた。「救護に向かった証言は、市民でも知らない人が増えている貴重な記憶。国内外や後世にメッセージを伝えるため、作品づくりに参加してほしい」と呼びかけている。

 撮影は、11月2日午後1~4時のうち2時間程度を予定。雨天の場合は翌3日。乳児や高校生以下の子どもも含めて約500人を募る。25日までに専用フォームから申し込む。市立美術館☎082(430)7117。

(2024年10月22日朝刊掲載)

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