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被爆レクイエム 熱唱 旧制広島二中生悼み観音高卒業生 「悲惨さ伝え続けたい」

 観音高(広島市西区)の卒業生による「祈念コンサート」が、広島市中区の広島県民文化センターで開かれた。1年生323人が犠牲になった前身の旧制広島二中の原爆被害や家族の悲しみを訴える合唱組曲「レクイエム『碑(いしぶみ)』」を熱唱した。

 60代を中心に構成する広島観音高音楽部OB合唱団の51人が出演。県内外から集まった約400人を前に、猛火の中力尽きる教員と少年たちを描いた「川の中で」や、わが子を捜す母の思いを込めた「まさちゃん お母さんよ」など9曲を荘厳なハーモニーで歌った。

 「碑」は遺族の手記を基に、ともに二中出身の薄田純一郎さんが作詞、森脇憲三さんが作曲。1970年に市内で初演された。OB合唱団は2001年に結成し、翌年から祈念コンサートを開いてきた。同校の音楽教諭だった益田遙さん(90)が合唱指導と指揮を務めてきたが一昨年引退。団員で元市職員の山本康之さん(68)が引き継いだ。

 この日は益田さんも童謡「ふるさと」などを指揮した。公演を終えた山本さんは「私たちは戦争を体験していない世代だが、歌を通して、原爆の悲惨さを伝え続けていきたい」と力を込めた。(桑島美帆)

(2024年10月23日朝刊掲載)

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