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シベリア抑留 遺骨「帰郷」 三原 23歳で死亡 米谷繁罩さん 遺族ら「安らかに眠って」

 第2次大戦後のシベリア抑留中に23歳で亡くなった米谷繁罩(しげと)さんの遺骨が29日、三原市本郷町船木の生家に暮らす遺族へ引き渡された。厚生労働省がDNA鑑定で身元を特定。遺族たちは「ようやくだ。安らかに眠ってほしい」と終戦から79年を経ての「帰郷」をかみしめた。(佐藤弘毅)

 遺族や県によると、米谷さんは6人きょうだいの長男。1943年ごろに戦地へ赴き、旧陸軍の歩兵第231連隊に所属していた。ロシアの旧チタ州のカダラ収容所で、45年12月に栄養失調のため亡くなったという。

 遺骨は、政府の遺骨収集派遣団が2005年に現地の埋葬地から持ち帰った。08年の鑑定では特定できなかったが、ことし6月に米谷さんのものと判明した。

 この日、おいの英男さん(62)が県の担当者から遺骨を受け取った。鑑定を申請した父で、米谷さんの弟の昭和さんは4年前に86歳で死去。英男さんは「父から詳しいことは聞いておらず、連絡をもらった時は半信半疑だった。どれほど過酷な環境の中で最期を迎えたのか」と思いをはせた。遺骨は一族が眠る墓に納めるという。

 同席した米谷さんのもう一人の弟、楠香谷(なかや)君三さん(93)=同市沼田西町=は「やんちゃな兄で、自転車をこいでいたら後ろから押されて転んだことを今でも覚えている。諦めていたが、帰って来てくれて本当に良かった」と目を細めた。

(2024年10月30日朝刊掲載)

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