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被爆者の体験 後輩に伝える 大学生の「伝承者」庄野さん、戸河内小で授業 「平和への思い つなぎたい」

 広島市の被爆体験伝承者で安芸太田町在住の広島文教大4年庄野愛梨さん(22)が、母校の戸河内小で6年生5人に被爆者の体験を伝えた。2年間の講座を経て今春、伝承者となり、生まれ育った地域でも原爆の怖さを語り継ごうと特別授業を買って出た。(与倉康広)

 庄野さんは10月25日に同小を訪問。研修でじっくり話を聞いた被爆者の山本玲子さんの体験を地図などを用いて紹介した。

 爆心地から約4・1キロ離れた現安佐南区の長束国民学校運動場。「晴れた空に2機の飛行機が見え、きれいと思ったら太陽が落ちたと思うほどの光と爆風が来た」。6歳だった山本さんの目線で原爆投下時の様子を表現した。実家で全身やけどの男性を救護したこと、「黒い雨」で猫の白い毛がみるみる黒くなったことも語って聞かせた。

 今年のノーベル平和賞に日本被団協が選ばれたことに触れ「証言を続けてきた被爆者の歩みが世界に認められた。今度は私たちが伝える番」と呼びかけた。

 講話を聞いた二反あおいさん(12)は「原爆や戦争の悲惨さを分かりやすく教えてもらった。もっと知識を深めたい」と話していた。

 庄野さんはこの春から平和記念公園(中区)を訪れる県外の修学旅行生たちに証言を伝える活動を重ねる。「被爆者たちの体験に地元の子どもたちとも向き合い、平和への思いを次世代へつないでいきたい」と力を込めた。

(2024年11月1日朝刊掲載)

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