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広島で被爆 故田坂具隆監督に光 没後50年 東京で企画展

 広島で被爆した三原市沼田東町出身の映画監督、田坂具隆(1902~74年)の没後50年を記念した企画展が、東京都中央区の国立映画アーカイブで開かれている。映画の関連資料や出演俳優の所持品など約170点を展示。日本映画史に数々の名作を残した名匠に光を当てている。24日まで。

 62作を手がけた田坂の作品一覧や経歴をパネルで紹介。前線の兵士の気持ちやリアルな戦闘を描き、日本人で初めて海外の映画祭で賞を受けた「五人の斥候兵」(38年)のポスターや脚本が並ぶ。「海軍」(43年)は米軍艦を撃沈するラストシーンの写真などを公開。映像に残っていない貴重な場面という。

 田坂は広島への原爆投下時、爆心地から約1キロの陸軍西部第二部隊の便所の中にいて生き永らえた。原爆で失明した女性が登場する「長﨑の歌は忘れじ」(52年)の撮影後のインタビュー記事も展示され、焼け野原を歩く中、「ここに一本の花があったら」と感じたとの着想が記されている。

 訪れた都内の伊藤藤一さん(86)は「若い頃に活躍した監督で懐かしい」と見入っていた。期間中は現存する41作品の上映も予定する。一般250円。月曜休館。(堀晋也)

(2024年11月1日朝刊掲載)

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