小手鞠るいさん 文筆活動の軌跡 岡山の文学館で特別展 米拠点 原爆・戦争題材に創作
24年11月2日
米国を拠点に精力的な文筆活動を続けている作家・小手鞠るいさん(68)=写真・備前市出身=の足跡をたどる特別展が、吉備路文学館(岡山市北区)で開催中だ。独自の視点で「原爆文学」に挑む小手鞠さんの創作への思いにも光を当てている。
1992年に渡米し、95年に短編集「玉手箱」でデビューした。ジェンダー、環境問題をはじめ、社会性をにじませた小説や児童文学作品を数多く出版。2018年には、原爆投下と向き合った小説「ある晴れた夏の朝」(偕成社)を発表した。
特別展では、著書や原稿、創作ノートなど約300点を展示。特に「アップルソング」(14年)「炎の来歴」(18年)など、近年力を入れている戦争をテーマにした作品に力点を置く。
「ある晴れた夏の朝」は、日系人の女子高生を主人公に、多彩な背景を持つ米国の高校生たちの討論を物語の柱にする。展示では、小手鞠さんが本作の「キッカケ」をつづったコラムをパネルで紹介。原爆投下は「悲劇として認めるが、戦争中の戦略としては正しかった」と考える米国人に「ぐさりとメスを入れたかった」と述べる。
「ニューヨーク州の森にある自宅で執筆している小手鞠さんは、客観的に両国を見ている」と明石英嗣館長(62)。「子どもたちが議論しながら、正しい戦争観を育てていく大切さを伝えたかったのだろう」と説明する。
会場では、1981年に「詩とメルヘン賞」を受賞し、漫画家のやなせたかしさん(2013年に94歳で死去)と交流があった一面も紹介する。
特別展は17日まで。3日午後1時半から館内のホールで、劇団「うりんこ」(名古屋市)が上演した「ある晴れた夏の朝」の動画を上映する。(桑島美帆)
(2024年11月2日朝刊掲載)
1992年に渡米し、95年に短編集「玉手箱」でデビューした。ジェンダー、環境問題をはじめ、社会性をにじませた小説や児童文学作品を数多く出版。2018年には、原爆投下と向き合った小説「ある晴れた夏の朝」(偕成社)を発表した。
特別展では、著書や原稿、創作ノートなど約300点を展示。特に「アップルソング」(14年)「炎の来歴」(18年)など、近年力を入れている戦争をテーマにした作品に力点を置く。
「ある晴れた夏の朝」は、日系人の女子高生を主人公に、多彩な背景を持つ米国の高校生たちの討論を物語の柱にする。展示では、小手鞠さんが本作の「キッカケ」をつづったコラムをパネルで紹介。原爆投下は「悲劇として認めるが、戦争中の戦略としては正しかった」と考える米国人に「ぐさりとメスを入れたかった」と述べる。
「ニューヨーク州の森にある自宅で執筆している小手鞠さんは、客観的に両国を見ている」と明石英嗣館長(62)。「子どもたちが議論しながら、正しい戦争観を育てていく大切さを伝えたかったのだろう」と説明する。
会場では、1981年に「詩とメルヘン賞」を受賞し、漫画家のやなせたかしさん(2013年に94歳で死去)と交流があった一面も紹介する。
特別展は17日まで。3日午後1時半から館内のホールで、劇団「うりんこ」(名古屋市)が上演した「ある晴れた夏の朝」の動画を上映する。(桑島美帆)
(2024年11月2日朝刊掲載)