現政権 消極姿勢変わらず 核禁条約 国連軍縮委で決議案反対
24年11月9日
国連総会(193カ国)の第1委員会(軍縮)に提出された今年の主な決議案への政府の態度が出そろった。核兵器禁止条約の批准を呼びかける決議案は、昨年に続き反対。日本が31年連続で出した核兵器廃絶決議案でも、禁止条約は経過説明にとどまる。現政権は条約のオブザーバー参加を「真剣に考える」とするが、外交上の姿勢は歴代政権と変わらない実態が浮かぶ。
禁止条約の批准を各国に呼びかける決議案は、オーストリアやカザフスタンが提出した。第1委員会は2日、122カ国の賛成で採択した。日本は過去6年と同じく、反対に回った。
石破茂首相はオブザーバー参加を検討する姿勢を示しており、市民団体には賛成への期待もあった。岩屋毅外相は8日の記者会見で「すぐさま条約に賛成してくれという決議案のため、反対票を投じた」と説明した。
政府提出の決議案はノーベル平和賞に決まった日本被団協に言及したが、その他の内容は昨年の決議をほぼ踏襲した。被団協が参加を求める禁止条約にも触れたが、締約国会議の開催など事実関係の列挙に終始した。
145カ国の賛成は得たものの、一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」(東京)の浅野英男さん(28)は「核軍縮が停滞しているのに、具体的な取り組みが乏しい」と指摘する。
ニュージーランドやアイルランドが新たに提出した、核戦争の影響を調べる専門家委員会の発足を求める決議案には日本は賛成した。核兵器のもたらす壊滅的な結末を懸念する決議案にも、賛成票を投じた。市川とみ子軍縮大使は5日の第1委員会で「日本は核兵器の使用がもたらす非人道的な結末をよく理解している」と述べた。
第1委員会には核被害者援助の重要性を指摘する決議案も提出されており、近く採決がある。(宮野史康)
国連総会決議
国連の意思を示す文書。加盟国が単独または共同で提案する。安全保障理事会決議のような拘束力はない。国連への加盟国承認など重要問題を除き、加盟国の過半数の賛成で採択する。
(2024年11月9日朝刊掲載)
禁止条約の批准を各国に呼びかける決議案は、オーストリアやカザフスタンが提出した。第1委員会は2日、122カ国の賛成で採択した。日本は過去6年と同じく、反対に回った。
石破茂首相はオブザーバー参加を検討する姿勢を示しており、市民団体には賛成への期待もあった。岩屋毅外相は8日の記者会見で「すぐさま条約に賛成してくれという決議案のため、反対票を投じた」と説明した。
政府提出の決議案はノーベル平和賞に決まった日本被団協に言及したが、その他の内容は昨年の決議をほぼ踏襲した。被団協が参加を求める禁止条約にも触れたが、締約国会議の開催など事実関係の列挙に終始した。
145カ国の賛成は得たものの、一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」(東京)の浅野英男さん(28)は「核軍縮が停滞しているのに、具体的な取り組みが乏しい」と指摘する。
ニュージーランドやアイルランドが新たに提出した、核戦争の影響を調べる専門家委員会の発足を求める決議案には日本は賛成した。核兵器のもたらす壊滅的な結末を懸念する決議案にも、賛成票を投じた。市川とみ子軍縮大使は5日の第1委員会で「日本は核兵器の使用がもたらす非人道的な結末をよく理解している」と述べた。
第1委員会には核被害者援助の重要性を指摘する決議案も提出されており、近く採決がある。(宮野史康)
国連総会決議
国連の意思を示す文書。加盟国が単独または共同で提案する。安全保障理事会決議のような拘束力はない。国連への加盟国承認など重要問題を除き、加盟国の過半数の賛成で採択する。
(2024年11月9日朝刊掲載)