[被団協ノーベル平和賞] 運動の軌跡語る資料保存 受賞決定で注目「記憶遺産を継承する会」
24年11月14日
計1万8000点 結成宣言原本やデモ写真
日本被団協のノーベル平和賞決定を受け、被爆者運動の資料を収集、保存するNPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」(東京)が注目を集めている。被団協の歩みを伝える資料を数多く保存。全国から閲覧の希望が相次いでいる。(堀晋也)
東京都中野区とさいたま市に構える資料庫に計約1万8千点を保存している。1956年の被団協結成宣言の原本や、米ニューヨークに約100万人が集まった82年の反核デモの写真なども収めている。
原爆被害者援護法の制定を求める被団協の基本要求案の推敲(すいこう)跡や、全国の被爆者団体から募った意見文といった貴重な資料も残している。被団協のノーベル平和賞受賞が発表された10月11日以降、広島県内や関東、近畿地方から「保存資料を見せてほしい」「担当者の話を聞きたい」との問い合わせが7件あったという。
事務局の栗原淑江さん(77)は「問い合わせ件数を普段は数えていないが、こんなに相次ぐのは過去になかったこと」と驚く。
会は被爆者やノーベル文学賞作家の大江健三郎さんの呼びかけで2011年に設立した。現在は439の個人・団体が会員として支援。資料の収集に加えてデジタル化も進め、今夏には被爆者の体験記集のオンライン公開を始めた。
設立時に構想した資料閲覧施設「継承センター」の建設は、費用や候補地選定が課題となって実現していない。「ノーベル賞が決まった被団協の貴重な資料の発信は重要」と、被団協の元事務局員でもある栗原さん。センター建設への思いを深めている。
(2024年11月14日朝刊掲載)