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原爆死没者鎮魂・平和祈念式典 6月追悼式に組み入れ案 笠岡市検討 8・6開催から変更

 笠岡市で毎年8月6日に開かれる「市原爆死没者鎮魂式と平和祈念のつどい」について、市が6月の市戦没者追悼式に組み入れる案を検討していることが19日、分かった。市は財政健全化のため、イベントを見直す考え。関係者は、被爆者の減少や高齢化で出席者が減る現状を受け止めつつも「8月6日に開くからこそ意味がある」と話す。(谷本和久)

 鎮魂式は2001年から、市と、被爆者団体や市職員労働組合などでつくる市非核平和都市宣言啓発実行委員会が主催。広島市中区の平和記念式典に合わせて午前8時に始め、夏休み中の高校生も出席する。当初、市内の被爆者は約120人だったが、現在22人に減少。平均約87歳で出席困難な人も多い。ことしの出席者約40人のうち、被爆者は実行委員長の上小城(かみこじょう)昌昭さん(84)=城見=だけだった。

 市が主催する6月の市戦没者追悼式は、日清戦争以後の市出身戦死者2972人を弔う。例年、市内の遺族たち数百人が出席する。式では非核平和都市宣言朗読や核兵器廃絶の主張などがあり、鎮魂式と同内容の年もあるという。

 市の負担は鎮魂式が約5万円、追悼式は約70万円。市は18日発表した財政健全化プランの素案で、年間41件の市主催イベントのうち14件を廃止、22件を見直すとした。詳しい記載はないが、両式典の統合方針はほぼ決まっているという。

 栗尾典子市長は「平和の取り組みが重要なのは十分承知している」としつつ、「関係者の負担を考え、可能なものは一緒にできないか検討したい。ご理解いただきたい」と話す。プランは、22日からのパブリックコメント(意見公募)を経て正式に決まる。

 上小城さんは「鎮魂式は8月6日の開催だから意味があるが、被爆者は少なくなり、変更は仕方ない面もある。核兵器廃絶や平和への思いを発信する取り組みは続けないといけない」と訴える。

(2024年11月20日朝刊掲載)

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