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核廃絶・表裏のない平和へ願い 内田泰秀の陶芸 保管を 福山の後援会 高齢化 寄託先探す

 福山市駅家町を拠点に活躍した陶芸家内田泰秀さん(1893~1997年)の茶わんやつぼなど約40点が、住民たちでつくる後援会によって同町で保管されている。内田さんは核兵器廃絶を願い、核保有国に自作の皿を贈ったことなどで知られる。後援会は「思いを継いでくれる場所に作品を託したい」と受け入れ先を探す。(原未緒)

 内田さんは、さまざまな色の土を重ね、器の内外両面に同じ図柄を描き出す「表裏貫通錦練上手(ひょうりかんつうにしきねりあげて)」の技法を独自に確立。1963年の部分核停条約の調印を受け、米、英、ソ連の各国に世界平和の思いを込めた大皿を贈った。

 80代で拠点を三次市から駅家町に移し、パリの陶磁器博物館に求められて作品を出展するなど活躍。103歳で亡くなった。その後、身の回りの世話をしていた支援者も高齢者施設に入ると、工房から作品が無断で持ち去られるケースが相次いだという。

 発覚から間もない2018年、同町の電気店「つるみ電器」会長で後援会代表の松本忠さん(77)が作品を引き取ることになった。内田さんが各国に贈った大皿の試作品やつぼ、茶器などを工房から同店に運び込み、保管を続けた。ただ自身も含め後援会員は高齢となり、今後の管理が不安という。

 松本さんは「『表裏のない平和』を願った内田さんの作品を、できれば公的な場で長く保管してもらいたい」。会員で妻の日出子さん(77)は「地元で支援し、守ってきた内田さんの作品を絶やしたくない。展示の機会ができればうれしい」と話す。問い合わせは同店☎084(976)5755。

(2024年11月22日朝刊掲載)

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