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ヒロシマ賞にチンさん 米在住美術家

 広島市は22日、美術を通じて平和に貢献した作家に贈る「ヒロシマ賞」の第12回受賞者に米国人の美術家メル・チンさん(73)=米ノースカロライナ州在住=を選んだと発表した。彫刻や絵画など多様な手法を取り入れた作品の創作に地域住民を巻き込み、社会問題に対する市民意識を喚起させてきた点を評価した。

 チンさんは米テキサス州ヒューストン出身。海面上昇で水没した米ニューヨークのタイムズスクエアの未来の姿を拡張現実(AR)で探索できる作品などで知られる。2005年にハリケーン「カトリーナ」が襲った米ニューオーリンズでの土壌汚染を知り、鉛中毒撲滅に取り組む運動拠点となる家を制作した。

 チンさんは市を通じて「賞は弁解の余地なき残虐行為を支持せず、加担にあらがう決意を強固なものとしてくれる」とコメントを寄せた。

 市は1989年に同賞を創設。美術関係者たちによる選考を経て原則3年に1度授与している。市などは26年夏から秋にかけて市現代美術館(南区)で受賞記念展を開く。(野平慧一)

(2024年11月23日朝刊掲載)

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