ユダヤ人映画監督とパレスチナ人プロデューサーが訴え 子への人権侵害 広島で考えるヨルダン川西岸 暴力や拘束
24年12月2日
イスラエル占領下のヨルダン川西岸で続く深刻な人権侵害について考える集いが、広島市中区の市立大サテライトキャンパスであった。イスラエル軍に不当逮捕されるパレスチナの子どもたちを追った映画「トゥー・キッズ・ア・デイ」を共同で製作したユダヤ人監督とパレスチナ人プロデューサーが参加した。
映画のタイトルは、軍への投石などを理由に1日平均2人の子どもが逮捕されている西岸の実態を伝える。少年たちが手錠をかけられ自供を迫られる尋問の映像とともに、軍側が「暴力的な人物を排除し、イスラエルとパレスチナ双方に多大な貢献をした」と強弁する場面も映し出す。
プロデューサーのモハメド・ババイさん(47)は「西岸では撃ち殺される子どももいる。イスラエルの占領は残忍を極めている」と訴える。映画は、暴力や長期拘束で精神的被害を負った少年の姿も映す。監督のデイビッド・バクスマンさん(38)は、子どもの拘束は「パレスチナ人社会に恐怖を与え、抵抗を弱めさせる効果がある」と指摘した。
映画は約7年の製作期間を経て2022年に完成。イスラエル政府が内容に異議を唱えて助成金の返還を求めたため逆に注目を浴び、当初はイスラエルで多くの人が鑑賞したという。だがイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まった昨年10月7日以降は状況が一変した。「パレスチナ人の苦しみを知ろうというイスラエル人の回路が閉ざされた」とバクスマンさんは語る。
パレスチナ自治区ガザでは1年間で4万人以上が犠牲になっている。ババイさんは「パレスチナの人たちの苦しみに心を寄せ続けてほしい」と呼びかけた。(小林可奈)
(2024年12月2日朝刊掲載)
映画のタイトルは、軍への投石などを理由に1日平均2人の子どもが逮捕されている西岸の実態を伝える。少年たちが手錠をかけられ自供を迫られる尋問の映像とともに、軍側が「暴力的な人物を排除し、イスラエルとパレスチナ双方に多大な貢献をした」と強弁する場面も映し出す。
プロデューサーのモハメド・ババイさん(47)は「西岸では撃ち殺される子どももいる。イスラエルの占領は残忍を極めている」と訴える。映画は、暴力や長期拘束で精神的被害を負った少年の姿も映す。監督のデイビッド・バクスマンさん(38)は、子どもの拘束は「パレスチナ人社会に恐怖を与え、抵抗を弱めさせる効果がある」と指摘した。
映画は約7年の製作期間を経て2022年に完成。イスラエル政府が内容に異議を唱えて助成金の返還を求めたため逆に注目を浴び、当初はイスラエルで多くの人が鑑賞したという。だがイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まった昨年10月7日以降は状況が一変した。「パレスチナ人の苦しみを知ろうというイスラエル人の回路が閉ざされた」とバクスマンさんは語る。
パレスチナ自治区ガザでは1年間で4万人以上が犠牲になっている。ババイさんは「パレスチナの人たちの苦しみに心を寄せ続けてほしい」と呼びかけた。(小林可奈)
(2024年12月2日朝刊掲載)