緑地帯 武部好伸 「映画」事始め+広島①
24年11月27日
ぼくは生まれ育った大阪を拠点に物書きをしている。執筆テーマは映画、ケルト文化、洋酒、大阪。あまりにもまちまちだが、それらをリンクさせ、あるいは単独のテーマで本を出版してきた。そこには広島は全く無縁だった。ところが、「映画」を介して太いパイプができた。といっても、映画作品ではない。映画史に関わること。
具体的には、3年前、東龍造の筆名で編んだ初小説「フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一」(幻戯書房)が舞台化され、昨年暮れに広島公演が実現したことだ。全く想定外の出来事で、人生ってオモロイなぁとつくづく思った。その〈広島コネクション〉がいかにして生まれたのか―。
出発点は、初めて映画と大阪を絡めた、2000年刊行の「ぜんぶ大阪の映画やねん」(平凡社)だった。「王将」「夫婦善哉」「泥の河」、ハリウッド大作「ブラック・レイン」など大阪を舞台にした作品をエッセー風にまとめた本の中で、大阪の映画史についても少し言及した。それを機に、映画がいつ、どんな形で日本にもたらされたのかが気になってきた。
その後はしかし、ぼくのライフワークとなったケルト紀行シリーズ全10巻に没頭したので、手を付けられなかった。それが一段落し、映画黎明(れいめい)期の事どもを調べ始めると、あっと驚くことが判明した。(たけべ・よしのぶ 作家・エッセイスト=大阪市)
(2024年11月27日朝刊掲載)
具体的には、3年前、東龍造の筆名で編んだ初小説「フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一」(幻戯書房)が舞台化され、昨年暮れに広島公演が実現したことだ。全く想定外の出来事で、人生ってオモロイなぁとつくづく思った。その〈広島コネクション〉がいかにして生まれたのか―。
出発点は、初めて映画と大阪を絡めた、2000年刊行の「ぜんぶ大阪の映画やねん」(平凡社)だった。「王将」「夫婦善哉」「泥の河」、ハリウッド大作「ブラック・レイン」など大阪を舞台にした作品をエッセー風にまとめた本の中で、大阪の映画史についても少し言及した。それを機に、映画がいつ、どんな形で日本にもたらされたのかが気になってきた。
その後はしかし、ぼくのライフワークとなったケルト紀行シリーズ全10巻に没頭したので、手を付けられなかった。それが一段落し、映画黎明(れいめい)期の事どもを調べ始めると、あっと驚くことが判明した。(たけべ・よしのぶ 作家・エッセイスト=大阪市)
(2024年11月27日朝刊掲載)