平和思い千畝の功績発表 福山の一ツ橋中生 あす東京のリトアニア大使館訪問
24年12月2日
折りばら作品寄贈も 「歴史学ぶ」
福山市東手城町の一ツ橋中の生徒が3日、リトアニアの大使館(東京都港区)を訪問し、同国でユダヤ人を救う「命のビザ」を発行した外交官杉原千畝(1900~86年)たちについて発表する。折りばらの作品も贈る計画で「平和への思いを伝えたい」と張り切っている。(原未緒)
2年生約60人が東京での修学旅行の一環で、大使館を訪問。第2次世界大戦中に駐リトアニア領事代理だった杉原がナチス・ドイツの迫害からユダヤ人を救った功績、ホロコーストで命を落としたアンネ・フランクの言葉などを英語でスピーチする。折りばらで同国の国旗を表現した作品を大使に手渡し、来年の世界バラ会議福山大会も紙芝居でPRする。
発表内容を考えた石岡優音(ゆね)さん(14)は「世界で戦闘が相次ぐ中、『なぜ人間はお互い仲良く、平和に暮らせないのだろう』というアンネの言葉に共感する。共に平和を考えるきっかけになれば」と話す。当日はポーランド大使館でも同様の取り組みを予定している。
福山市は、来年開かれる大阪・関西万博の参加国の関係者と地域住民が触れ合う「国際交流プログラム」でリトアニアとの交流を計画する。生徒はプログラムへの参画も視野に、1学期にホロコースト記念館(御幸町)で杉原について学び、8月から同国の中学生と文通も続けている。
村上啓二校長(60)は「来年は戦後80年。生徒たちが自らできることを考え、発信する契機になれば」と期待する。修学旅行実行委員長を務める天野叶翔(かなと)さん(13)は「大使館を訪問できる貴重な機会。歴史をしっかり学びたい」と意気込んでいる。
(2024年12月2日朝刊掲載)