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社説・コラム

『書評』 郷土の本 社会の課題解決へ 話し合う「場」作る

 平和記念公園(広島市中区)の近くでブックカフェを営む安彦恵里香さん(45)が、開業を志してからの奮闘をつづった「ハチドリ舎のつくりかた」を刊行した。

 政治、ジェンダー、差別…。さまざまな社会課題に向き合いたい人が集い、考えを話し合う「場」として作り上げたのがハチドリ舎だった。

 当初から大切にしているのが「6」が付く日のイベント。被爆者と来訪客が自由にコミュニケーションを取る。「普通の会話のなかで、今も続く日常のなかで原子爆弾が落とされたことを感じてほしい」とつづる。

 性的マイノリティーの人たちが集う「セクマイBAR」や、憲法の大切さを弁護士とともに考える会も。今は月30本ものペースで企画を催す。

 茨城県出身の安彦さんがヒロシマに心を寄せるに至った経緯や、開業の資金調達の苦労なども率直に記している。

 安彦さんは「この本が、社会課題解決を目指すプレーヤーが増えるきっかけになればうれしい」と話している。

 地平社、1980円。(山田祐)

(2024年12月8日朝刊掲載)

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