被団協 ノーベル平和賞 死者思い演説に感銘 サーロー節子さん 授賞式受け止め
24年12月12日
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))がノーベル平和賞を受賞した2017年に受賞演説したカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(92)は、10日の授賞式を自宅からオンラインで見届けた。受け止めを聞いた。(金崎由美)
7年前、壇上から思いを巡らせたのは、物言えぬ原爆犠牲者の存在だった。田中熙巳代表委員は今回、肉親を失った自身の体験と日本被団協という団体の歩みを語り、「死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」と繰り返し述べていた。感銘を受け、涙が出そうになった。
被爆者は、死者の無念を背負って核兵器廃絶を求めている。戦争を起こすのも、戦争の中で原爆被害を強いるのも国。原点に立ち返り、市民に対する国の責任をよくぞ語ってくれたと思う。
ノーベル賞委員会のフリードネス委員長の演説にも胸を熱くした。被爆者の長年の取り組みへの敬意に、私たち皆の努力が認められた思いになった。米国やロシアなど核保有国を名指ししながら「より多くの国家が核兵器禁止条約を批准しなければならない」と語るのを聞き、勇気を得た。ノルウェーは核同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟国。その政府に忖度(そんたく)しない発言だ。
田中さんと委員長の演説が共鳴し、大きな説得力が生まれた。授賞式での発信は、驚くほど世界に広く届くはずだ。
7年前の授賞式では、禁止条約を批判する米国と英国など政府代表が出席を拒み、あぜんとした。21年に条約は発効したが、核保有国の横暴と同盟国の核依存はさらに露骨だ。被爆体験を継承する若い世代が自国の政府に行動を迫ってほしい。条約に背を向けたままの被爆国で特に問われる。
(2024年12月12日朝刊掲載)
7年前、壇上から思いを巡らせたのは、物言えぬ原爆犠牲者の存在だった。田中熙巳代表委員は今回、肉親を失った自身の体験と日本被団協という団体の歩みを語り、「死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」と繰り返し述べていた。感銘を受け、涙が出そうになった。
被爆者は、死者の無念を背負って核兵器廃絶を求めている。戦争を起こすのも、戦争の中で原爆被害を強いるのも国。原点に立ち返り、市民に対する国の責任をよくぞ語ってくれたと思う。
ノーベル賞委員会のフリードネス委員長の演説にも胸を熱くした。被爆者の長年の取り組みへの敬意に、私たち皆の努力が認められた思いになった。米国やロシアなど核保有国を名指ししながら「より多くの国家が核兵器禁止条約を批准しなければならない」と語るのを聞き、勇気を得た。ノルウェーは核同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟国。その政府に忖度(そんたく)しない発言だ。
田中さんと委員長の演説が共鳴し、大きな説得力が生まれた。授賞式での発信は、驚くほど世界に広く届くはずだ。
7年前の授賞式では、禁止条約を批判する米国と英国など政府代表が出席を拒み、あぜんとした。21年に条約は発効したが、核保有国の横暴と同盟国の核依存はさらに露骨だ。被爆体験を継承する若い世代が自国の政府に行動を迫ってほしい。条約に背を向けたままの被爆国で特に問われる。
(2024年12月12日朝刊掲載)