×

ニュース

田中熙巳さん「演説は50点」 若者の奮起期待

 ノルウェー・オスロであった日本被団協へのノーベル平和賞の授賞式を終え、出席者や現地を訪れた被爆者たちは10日、受賞の喜びをかみしめ、核兵器も戦争もない社会に向けた行動の強化を誓った。(オスロ発 宮野史康、下高充生)

 被団協代表団は式後、滞在先近くの広場で、現地入りした他の被爆者たちと記念写真に納まった。受賞演説をした代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)は「気持ちが軽くなった」と笑顔。「点数を付けるなら50点。メッセージを発したばかり。若い人が頑張らないと」と期待した。

 登壇して賞状を受け取った代表委員の箕牧(みまき)智之さん(82)=広島県被団協理事長=も「トラブルなく大役を終えてほっとした」。メモをとりながら見届けた代表理事の田中聡司さん(80)=広島市西区=は「受賞の喜びは終わりにし、核兵器をなくす闘いに力を向けていきたい」と意気込んだ。

 代表団の一部は、日本の大使館が主催した歓迎会に出席した。被爆2世の代表理事、本間恵美子さん(74)=島根県原爆被爆者協議会会長=は「国際情勢を踏まえたタイミングでの受賞で、まだまだやるべきことがある」と強調。支部がなくなった県西部で被爆80年の来年に写真展を開きたい考えを示した。

 10日夜にオスロ市内であったたいまつ行進では、日本や現地の参加者が共に「ノー核兵器」などと声を上げた。被団協代表団の元事務局員、栗原淑江さん(77)は夕食会への出席を見合わせ、先人たちの顔写真を並べたパネルを持って歩いた。「被団協の運動をつくり上げてきた人たち。一緒に喜んでもらいたい」と思いをはせた。

 参加したポシュグルン市の中学生トウミ・オウリさん(15)は「困難から立ち上がったとても大切な人たち。活動を応援したい」と被爆者に思いを寄せた。

(2024年12月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ