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[被団協ノーベル平和賞] 被爆80年 「証言の大運動を」 田中熙巳さんら東京で会見首相と1月上旬に面会へ

 今年のノーベル平和賞を受賞した日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)=埼玉県新座市=が24日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。受賞演説で訴えた原爆犠牲者への国家補償がない現状への憤りを強調し、被爆80年の来年を見据えて「証言の大運動をしたい」と述べた。石破茂首相との面会は年明けになると説明。複数の関係者によると、来年1月上旬を軸に最終調整が進んでいる。

 いずれも事務局次長の浜住治郎さん(78)と児玉三智子さん(86)が同席。田中さんは演説で重ねて訴えた国家補償について「怒りがずっとある」と振り返った。戦争被害は国民が等しく我慢すべきだとする国の「受忍論」は「間違っている」と断じ、「世界にはびこっているという思いが頭に浮かんだ」と語った。

 核使用への懸念が強まる中で迎える来年の被爆80年。「核のタブーが崩されないよう、証言の大運動をやっていきたい」と力を込めた。

 ノーベル賞委員会のフリードネス委員長との現地でのやりとりも明らかにした。当初は被団協への来年の授与を検討していたが、被爆80年に向けて「世界の世論を大きくしてほしいと、今年に決めた」との説明を受けたという。田中さんは「すごい判断だ」と語った。

 受賞決定の際に首相が提案した面会に関し、田中さんは「年明けに会うと交渉している」と述べた。複数の関係者によると、政府は被団協へ招待状を出しており、1月上旬に官邸で面会する方向で最終調整が進んでいる。

 浜住さんは、来年3月に開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議に被爆者を派遣することも報告した。(宮野史康、中川雅晴)

(2024年12月25日朝刊掲載)

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