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被爆80年事業費を計上 厚労省 広島・長崎 惨禍継承後押し

 厚生労働省は2025年度予算案に、1097億円の被爆者援護対策費を盛り込んだ。被爆者の減少を受け、24年度当初から52億円減った。被爆80年の節目に合わせた広島、長崎両市の事業には9千万円を充当。デジタル技術を活用して被爆の惨禍を継承する両市の取り組みを後押しする。

 データベース化した被爆体験記や証言を人工知能(AI)の技術で検索する広島市の事業では、3分の2を補助する。8月の平和記念式典に合わせた海外の学生や、被爆者の招待費も9千万円に含まれている。

 被爆者への諸手当には679億円を積んだ。一定の病気にかかると支給する健康管理手当(月額3万6900円)は24年度当初と比べ7億円減の417億円。原爆症と認定された被爆者への医療特別手当(同15万20円)は186億円で47億円減った。

 20年度から続ける原爆投下後の「黒い雨」の援護対象区域(大雨区域)の再検証費は、24年度比で2千万円減の1億5千万円を投じる。被爆建物・樹木の保存は引き続き5千万円を充てる。

 日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(広島市南区)の広島大霞キャンパス(同)への移転費用は別枠で確保した。25年度初めに金額を固める。(樋口浩二)

(2024年12月28日朝刊掲載)

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