「恥ずかしい」「米に遠慮」 核禁条約オブザーバー参加見送り 被爆者ら怒りの声
25年1月26日
政府が3月にある核兵器禁止条約の第3回締約国会議へのオブザーバー参加を見送る方向で最終調整に入り、広島の被爆者や市民は25日、怒りの声を上げた。被爆体験を世界へ発信し、禁止条約の制定も後押しした日本被団協が昨年のノーベル平和賞を受賞。被爆80年を迎えて核兵器廃絶への機運を高めたい中で、被爆国政府に水を差されたかたちだ。(口元惇矢、小川満久)
日本被団協の代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(82)は「平和賞を受賞し、今年は被爆80年の節目でもあるのに残念でならない」と受け止めた。
昨年12月にノルウェー・オスロであった平和賞授賞式で賞状を受け取り、核兵器も戦争もない世界実現への決意を新たにした。今月8日に石破茂首相と官邸で面会し、オブザーバー参加するよう迫ったが、「首相にその気はなかったのだろう。腹が立つ」と怒りをにじませた。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)も「被爆国の政府としての姿勢をはっきりとさせ、核兵器廃絶を訴えていく立場のはずなのに恥ずかしい」と憤る。政府への働きかけを、今後も続けていく構えだ。
「政府は米国に遠慮して、機会を逃した」と指摘したのは元広島市長の平岡敬さん(97)。「日本被団協のノーベル平和賞受賞で国民の関心が高くなっている。核兵器のない世界に向けて行動する絶好のタイミングだった」と語気を強める。平和賞授賞式に参列し、現地で証言活動もした被爆者の小倉桂子さん(87)は「残念と言うしかない。どうしても難しいなら、せめてなぜ参加できないのか、正直な思いを説明してほしい」と求める。
原爆資料館(広島市中区)の石田芳文館長(61)は「政府には会議の場で締約国の思いを聞いた上で、核兵器保有国と非保有国との橋渡しの役割を果たしてほしかった」と悔しさを口にした。
(2025年1月26日朝刊掲載)
日本被団協の代表委員で広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(82)は「平和賞を受賞し、今年は被爆80年の節目でもあるのに残念でならない」と受け止めた。
昨年12月にノルウェー・オスロであった平和賞授賞式で賞状を受け取り、核兵器も戦争もない世界実現への決意を新たにした。今月8日に石破茂首相と官邸で面会し、オブザーバー参加するよう迫ったが、「首相にその気はなかったのだろう。腹が立つ」と怒りをにじませた。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)も「被爆国の政府としての姿勢をはっきりとさせ、核兵器廃絶を訴えていく立場のはずなのに恥ずかしい」と憤る。政府への働きかけを、今後も続けていく構えだ。
「政府は米国に遠慮して、機会を逃した」と指摘したのは元広島市長の平岡敬さん(97)。「日本被団協のノーベル平和賞受賞で国民の関心が高くなっている。核兵器のない世界に向けて行動する絶好のタイミングだった」と語気を強める。平和賞授賞式に参列し、現地で証言活動もした被爆者の小倉桂子さん(87)は「残念と言うしかない。どうしても難しいなら、せめてなぜ参加できないのか、正直な思いを説明してほしい」と求める。
原爆資料館(広島市中区)の石田芳文館長(61)は「政府には会議の場で締約国の思いを聞いた上で、核兵器保有国と非保有国との橋渡しの役割を果たしてほしかった」と悔しさを口にした。
(2025年1月26日朝刊掲載)