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目指せ芸能人 広島発祥エスキーテニス 広めるために 創始者一家の宇野本さん親子 息子は「ジュノンボーイ」

 わが子を芸能人に―。そんな熱い思いで走り続けている親子がいる。広島発祥のスポーツ「エスキーテニス」の創始者を曽祖父に持つ会社役員、宇野本翼さん(40)と長男の高校1年愛生(あいき)さん(16)=広島市西区。愛生さんは2度の挑戦を経て2024年、数々の若手俳優を生み出した「ジュノンボーイ」に選ばれた。家族一丸で夢を追う姿からは、時代を乗り切る子育て論も浮かんでくる。(加納亜弥)

  trong>≪月刊誌「JUNON」が主催するジュノン・スーパーボーイ・コンテストに、23年に初挑戦した。1万5千人からベスト20に残ったが落選。24年に2度目の挑戦で「ジュノンボーイ」と呼ばれるファイナリスト15人に残った≫trong>

 翼さん 最初は僕の悪ふざけでした。とにかくエスキーテニスを広めたい。芸能人が取材に来ないかな…って思っていたある日、中3になった愛生の顔を見ると、ふっくら顔が成長期でシュッとなっていた。この子いけるんじゃないか。芸能人が来ないならつくってみようと応募したら、書類通過したんです。

 愛生さん 最初に聞いた時はめちゃくちゃ怒りました。何も知らずに勝手に書類を送られて。

 翼さん 珍しく強く反抗されましたね。この子は前に出るタイプではなかった。でも「これに受かったら広瀬すずさんに会えるかもしれんで」と言うと「あ、そうなん。じゃあいいよ」って。

 trong>≪コンテストは動画配信アプリや雑誌を通じた一般投票で勝ち進む。自己PRが鍵となる≫trong>

 翼さん この子は話が得意ではない。一般投票で人気を得るために、いろんなチャレンジ系の配信もしました。激辛カレーを食べてみるとか。

 愛生さん 最初は「え?」って思ったけど、見てくれる人からのコメントで楽しくなってきて。

 翼さん 若い子にありがちなんですが、「恥ずかしい」を理由に逃げるのはやめろと言い聞かせていました。正直、愛生は勉強ができるタイプではない。だったらとにかく、人と関われ。人を喜ばせたり助けたりしながら、自分が困ったら助けてもらえと。愛し愛され生きるやつになれと伝えてきました。

 trong>≪配信動画では時に、2人が奇抜なメークと全身タイツで登場した≫trong>

 翼さん 優しいだけの親なら子どもはおかしくなる。でも厳しいことも聞いてもらうには、僕を「好きな人」でおってもらいたい。僕は人が笑ってくれるのが好きなので、とにかく子どもたちを笑わせ続けたい。面白いは正義です。

 愛生さん 初めて聞いた。お父さんって何でも面白がるな、すらすらと言葉が出てきて尊敬するなと思ってたけど。

 翼さん 愛生はスポンジみたいに吸収するタイプ。でも次男は違う。次男は表に出たり、目立ったりすることが嫌い。本当に嫌なことは僕もさせません。愛生だったから受け入れたんだろうと思います。

 trong>≪愛生さんは4月からは高校生活と並行し、芸能事務所にも所属する≫trong>

 愛生さん この2年で人とのつながりや支えられることのありがたみを学びました。2年生では福祉コースに進みます。福祉を学べばいろんな人と関われる。お父さんの介護とかできるかもよ。

 翼さん 僕らが芸能界を目指す本来の目標は、エスキーテニスの普及です。僕は学校での平和学習を通じて普及活動をしてきました。分厚くて重たい使命です。愛生には、時代に合ったインフルエンサーとしてその使命を果たしてもらいたいと思っています。

tyle="font-size:106%;font-weight:bold;">原爆の焦土で誕生 5世代つなぐ

 羽根付きスポンジボールを木製ラケットで打ち合うエスキーテニス。テニスと卓球とバドミントンを足して割ったような競技だが、テニスの約8分の1の省スペースで楽しめる。

 原爆で親を失った子どものために「焼け野原でも楽しめるスポーツを」と、広島県の依頼を受けた実業家宇野本信さんが1948年に考案した。「エスキー(ESCI)」は当時広島市内に設立が提唱された「教育科学文化研究所(Education Science and Culture Institution)」の頭文字。信さんが平和を希求する構想に共鳴したという。

 信さんは原爆で、女学生だった三女武子さんを失った。娘を失いながらも、次世代のために汗を流した信さんの思いは代々受け継がれる。4代目となる翼さんは日本エスキーテニス連盟の役員たちと協力し、県内各地の学校に出前授業へ。5代目の愛生さんも指導役として同行している。

(2025年1月28日朝刊掲載)

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