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戦時下の学校 被害語る ウクライナのNGO理事長 物資贈った縁 己斐中訪問

 ロシアによる侵攻が続くウクライナで子どもを支援する非政府組織(NGO)理事長のエフゲーニャ・ドンチェバさん(56)が28日、広島市西区の己斐中で講演した。1、2年生約220人に、校舎なども被害を受ける母国の教育環境を語った。

 ドンチェバさんはチェルノブイリ原発事故の被災者支援に長年携わり、2011年の東京電力福島第1原発事故を機に日本との交流を深めた。今回は福島県を訪れるため来日中で、己斐中の生徒たちがウクライナにカイロや防寒具を贈った縁で同校を訪問した。

 ドンチェバさんはミサイルで壊された学校などの写真を示し、自らが暮らす北西部ジトーミル州では98%の学校に空襲からの避難施設が設置されたことなどを伝えた。

 中程度以上のストレスや不安を抱える子どもが45%に上り、多くの教員が国外避難したため従来の教育が成り立たない懸念があるとした。「平和でなければ繁栄はない。しっかりと学び、自分に何ができるかを考えて」と結んだ。

 2年島岡愛琉さん(14)は現地の教員が足りないのに胸を痛めたと言い、「現地の人の話を聞き、ウクライナで起きていることを自分ごととして考えるきっかけになった」と話した。(岸慶太)

(2025年1月29日朝刊掲載)

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