広響率い平和を発信 秋山和慶さん死去 広島の関係者 悼む声
25年1月29日
広島交響楽団の終身名誉指揮者、秋山和慶さんが26日夜、84歳で亡くなった。訃報が伝わった28日、広島の関係者には急逝を悼む声が広がった。(桑島美帆、渡辺敬子、木原由維)
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広島市中区であった広響のリハーサル前には、団員が1分間の黙とうをささげた。ビオラ首席奏者の安保惠麻さん(46)は「同じ目線に立ち、オーケストラの基礎をたたき込んでくださった。秋山さんがいなければ今の私はない」とあふれる涙を拭った。井形健児事務局長(59)は「難曲も快く引き受けてくださり、広響がどんどん成長した。先生の思いを受け継ぎたい」と力を込めた。
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昨春まで広響音楽総監督を務めた、NHK交響楽団正指揮者の下野竜也さん(55)は「ずっと背中を追いかけてきた。(音楽監督の)重いバトンを受け取り、秋山先生のすごみを感じた」。昨年11月に会った際には「まだまだ挑戦したい」と話していたという。
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秋山さんが客員教授を務めたエリザベト音楽大(中区)の川野祐二学長(65)は「音楽への深い思いや本質を教えてくださった」。指導を受けた広島なぎさ中高(佐伯区)管弦楽部の藤原譲治教諭(56)は「穏やかながらも厳しく的確なアドバイスだった」と振り返る。
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6月に秋山さん指揮で再演予定だった創作神楽「オロチ」の作曲家、伴谷晃二さん(77)は「被爆80年の広島から平和を発信する試みに賛同してくださった」としのんだ。
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広島県の湯崎英彦知事は「秋山さんの指揮で生み出される素晴らしい音楽は心を安らかにし、興奮や感動をもたらしてくれた」、広島市の松井一実市長は「音楽を通じて平和のメッセージを広く世界に発信され、広島の音楽文化の振興に多大な貢献をしていただいた」とのコメントを出した。
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(2025年1月29日朝刊掲載)