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被爆前後「広島の記憶」 図録を改訂・出版 泉美術館

 泉美術館(広島市西区)は2023年に開催した特別展「広島の記憶」の図録を改訂し、出版した。写真や絵、新聞記事や出版物など多様な資料から被爆前後の広島の歴史を浮かび上がらせた展示内容を収録している。

 冒頭で写真家の土門拳氏が出版した「ヒロシマ」の取材ノートを紹介。「撮りがたきを撮る 撮りがたきを堪える。人間性の快復(かいふく)を叫ぶ道は、その先にこそある」。筆跡から原爆被害への憤りがにじむ。

 「戦前の広島」の章は、画家の福井芳郎氏と四国五郎氏の風景画、松本若次氏が撮影した被爆前の街並みの写真を掲載する。「軍都」だった広島の敗戦後については、連合国軍総司令部(GHQ)の報道統制にあらがう撮影者や作家の姿を浮き彫りにする。1945年に撮影された広島原爆写真とともに、これまで判明した全ての撮影者と撮影状況の一覧表を付けた。

 特別展は、展示はもとより図録も評価された。「被爆前後の広島の歴史と復興のことを知りたい人に、教科書のように使ってもらおう」と出版を決めた。全国の公立図書館2549館に寄贈。A4判131ページ、千円。泉美術館と紀伊国屋書店の主要店で販売している。(金崎由美)

(2025年2月3日朝刊掲載)

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