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「感動で止まらないで」 東京 被団協が平和賞報告会

 ノーベル平和賞を受けた日本被団協は1日、昨年12月の授賞式の報告会を東京都内で開いた。代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)は、原爆被害への国家補償をしない政府を重ねて批判した自らの受賞演説に触れ、「他国にも共通する課題。世界の人に目を付けてほしかった」と振り返った。

 「もう一度繰り返します。原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」―。受賞演説でそう語った田中さん。報告会では、繰り返したのはとっさの判断だったと明かし「日本だけでなく民主国家の重要な問題。国家が国民に犠牲を強いるのは許されない」と訴えた。

 核兵器廃絶の取り組みなども力説した受賞演説には、称賛の声が多く届いたという。「感動で止まるのではなく、自分たちがやらなくてはいけないと受け取ってほしい」と語りかけた。

 その後、事務局次長の浜住治郎さん(78)は被爆80年の節目を機に「核抑止に頼る政府の考えを変えたい」と強調。10月11日に東京で大きな集会を開くほか、国会議員や各国への要請、被爆証言の掘り起こしに取り組むと紹介した。被団協などが主催し、約100人が聞いた。(宮野史康)

(2025年2月2日朝刊掲載)

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