緑地帯 よこみちけいこ 呉空襲の紙芝居 平和の願い託して⑧
25年2月1日
私が作ったのは手作りの紙芝居だ。この世にひとつしかない、中峠(なかたお)房江さんが演じるためだけに作ったものだ。
だが次第に「この紙芝居が欲しい」という声がたくさん届く。コピーをして渡していたが、それでは追いつかないほどになった。
知り合いの編集者に紙芝居を見てもらったが、地元色が強過ぎて、商業出版するのは難しいと言われた。ならばどうするか。よし、自分で出版するか!と自費出版をすることにした。誰でも演じられるように動画も作り、手元で見てもらえるように本の形にもした。
こうして紙芝居ができて今年で10年。今や呉市にとどまらず、北海道から沖縄まで、全国各地で大切に演じられている。中峠さんが抱いた小さな夢がどんどん広がり、これからもたくさんの人に届いていくだろう。
紙芝居の最後は、次のメッセージでしめくくられる。
いつもあたりまえのように広がる空。
この空を見上げることすらこわくてこわくて
いつも下をむいてふるえている子どもたちがたくさんいた、
そんな時代がありました。
ふと、空見上げて
「ああきれいだなあ、きもちいいなあ」と思う、
この当たり前のことが
とても幸せなことなのです。
戦争の悲惨さだけでなく、平和の希求と未来への継承を描いた紙芝居が、次の世代へ引き継がれていくことを願っている。(絵本作家=呉市)=おわり
(2025年2月1日朝刊掲載)
だが次第に「この紙芝居が欲しい」という声がたくさん届く。コピーをして渡していたが、それでは追いつかないほどになった。
知り合いの編集者に紙芝居を見てもらったが、地元色が強過ぎて、商業出版するのは難しいと言われた。ならばどうするか。よし、自分で出版するか!と自費出版をすることにした。誰でも演じられるように動画も作り、手元で見てもらえるように本の形にもした。
こうして紙芝居ができて今年で10年。今や呉市にとどまらず、北海道から沖縄まで、全国各地で大切に演じられている。中峠さんが抱いた小さな夢がどんどん広がり、これからもたくさんの人に届いていくだろう。
紙芝居の最後は、次のメッセージでしめくくられる。
いつもあたりまえのように広がる空。
この空を見上げることすらこわくてこわくて
いつも下をむいてふるえている子どもたちがたくさんいた、
そんな時代がありました。
ふと、空見上げて
「ああきれいだなあ、きもちいいなあ」と思う、
この当たり前のことが
とても幸せなことなのです。
戦争の悲惨さだけでなく、平和の希求と未来への継承を描いた紙芝居が、次の世代へ引き継がれていくことを願っている。(絵本作家=呉市)=おわり
(2025年2月1日朝刊掲載)