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被爆者や若者 広がる失望 ゼロ点どころかマイナス

 米ニューヨークで3月にある核兵器禁止条約の第3回締約国会議で、自民党が4日、党所属議員を現地派遣しない方針を示し、広島の被爆者や若者に失望が広がった。オブザーバー参加見送りで調整する日本政府の翻意を求める声も出た。

 広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(82)は「オブザーバー参加はもとより、議員派遣もしないのは被爆国の与党としてゼロ点どころかマイナスだ」と憤る。日本被団協は被爆者を派遣する予定で、自民党議員の不在を「現地でどう説明すればいいのか」。

 市民グループ「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の瀬戸麻由さん(33)は2022年の第1回締約国会議に参加した。「過去には核兵器保有国も議員を派遣した。世界のほぼ半数の国が参加する会議でどんな議論がされるのか聞きに行かないのは怠慢だ」と断じる。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)は7日の日米首脳会談に引きつけ、「条約に否定的なトランプ大統領の意向をうかがっているようにしか見えない。被爆者を裏切る行為だ」と非難した。

 「首相が行くかもしれない」と皮肉交じりに語ったのは日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(92)。東京都内であったノーベル平和賞の受賞祝賀会であいさつした。禁止条約に背を向ける日本政府の姿勢を批判し、「早く批准して核兵器をなくす先頭に立ってほしい」と訴えた。

 一方、広島県の湯崎英彦知事は廿日市市で報道各社の取材に「政府としての判断を待ちたい。政治家ではなく、外務省の担当者が国を代表して行ってもいい」と受け止めた。広島平和文化センターの谷史郎副理事長は平和首長会議代表団の一員として参加予定で「核兵器の非人道性について国内を含めてもっと発信していく」と話した。

(2025年2月5日朝刊掲載)

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