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広島県平和サイト 閉鎖続く 被爆80年事業PRの予定だが再開見えず 不正アクセス被害で1ヵ月以上

 広島県の核兵器廃絶への取り組みを紹介するウェブサイト「国際平和拠点ひろしま」が不正アクセス被害を受け、1カ月余り閉鎖状態が続いている。県はサイトを活用して被爆80年事業をPRする方針だったが、再開の見通しがついていない。県議会からは情報発信への影響に懸念の声が出ている。(河野揚)

 「大変重たい事案だ」「被爆80年事業に復旧が間に合わないのでは」。1月中旬の県議会総務委員会で、県議からの指摘が相次いだ。県平和推進プロジェクト・チーム担当者は「セキュリティー対策を優先しながら情報発信したい」と述べた。

 県によると、昨年12月30日にウェブサイトの改ざんが発覚。計3858件の個人や企業、団体の名前や住所、登録パスワードなどの情報が流出した可能性がある。サイトに掲載していた被爆者の証言や広島の復興の歴史などのデータも抜き取られ、完全には復元できない見通しという。

 県ホームページは厳重なセキュリティー対策を講じているが、このサイトは管理を外部委託している。委託事業のセキュリティーの甘さが不正アクセス被害の原因の可能性があるという。全国でも類似のサイト改ざんがあり、県警が関連を捜査している。

 県が管理を外部委託するウェブサイトは24年6月にも不正アクセス被害を受けた。県の外部委託サイトは約50あり、県は2月12日までに各担当部署に全サイトをチェックするよう通知した。

 県は被爆80年事業として4~9月に国際会議やイベントを集中開催する方針だ。PRなどにウェブサイトを活用し、別の特設サイト開設の準備もしていた。ただ、今回の不正アクセスの原因究明と再発防止策の構築ができなければ、サイトを再開できないという。

 同チームは「被爆80年事業でウェブサイトの役割は非常に大きい。4月の事業開始までに復旧させたい」としている。

ウェブサイト
「国際平和拠点ひろしま」の不正アクセス被害 2024年12月30日、広島県管理のウェブサイトで改ざんが発覚。ビットコイン300万円相当の振り込みを求める不審メールが登録会員に送られ、会員4人の名前や住所などがメールに掲載された。県は個人3705人、153企業・団体の情報が流出した可能性があるとしている。

(2025年2月5日朝刊掲載)

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