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安保や核政策 議論焦点 首相、トランプ氏と初会談へ出発

 石破茂首相は6日、トランプ米大統領と初めて会談するため、羽田空港から政府専用機で米国へ出発した。会談で焦点の一つとなるのは、首相のライフワークでもある安全保障政策。中国や北朝鮮が軍備を増強する中、同盟国トップのトランプ氏とどう向き合うのか。持論とする日米地位協定の見直しには触れるのか。核政策への言動にも注目が集まる。

 出発前には官邸で報道陣の取材に応じ「互いの信頼関係の確立のために努力したい。経済、安全保障の問題で、日米が協力し、自由で開かれたインド太平洋地域や世界全体の発展、平和のために力を合わせると確認できたら良い」と述べた。

 会談はワシントンで日本時間8日未明にある。外交筋によると、半導体産業など経済分野での連携に加え、安全保障政策が主要なテーマになる。

 首相は就任前、米軍の法的な特権を認めた「日米地位協定」の見直しを唱えてきた。実現すれば、極東最大級の航空基地である岩国基地(岩国市)にも波及する。ただアジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設も含め、最近は安保分野の持論を封印気味。今回、どこまで踏み込むかを東京・永田町の与野党議員は注視している。

 核政策を巡っては、日本被団協のノーベル平和賞受賞を受け、3月に米国である核兵器禁止条約第3回締約国会議へのオブザーバー参加を求める声が国内で高まっている。しかし首相は中国や北朝鮮の「脅威」を念頭に核抑止を重視し、不参加の方向で調整を進めている。会談で議題になるかどうかは見通せない。

 トランプ氏は1月の就任後、中国やロシアとの核軍縮協議に意欲を示す発言をした。しかし、前任期中には核兵器禁止条約への不参加を日本に働きかけ、小型核を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実戦配備を表明するなど核軍縮を後退させる言動が目立った。今回の首脳会談が今後の日米両国の核政策を左右する可能性もある。首相は8日、帰国する。(堀晋也、宮野史康)

(2025年2月7日朝刊掲載)

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