被爆者運動 歩み回顧 阿部静子さんの書籍完成
25年2月14日
被爆者運動に草創期から関わった阿部静子さん(97)=広島市南区=の歩みをたどった書籍が完成した。原爆で心身に傷を負いながら惨禍の証言を続け、国による援護や核兵器廃絶を訴えてきた活動を回顧。「原爆を受けて幸せになった者は一人もいない」と訴える。
題名は「被爆者 阿部静子は語る」。建物疎開作業中に爆心地から約1・5キロで被爆。大やけどを負って顔や手にケロイドが残り、「うつむいて傷が見えないように」暮らした日々を記した。
国に救済を求めて国会議員へ請願したり、県被団協、日本被団協が組織されたりした時期の記憶も盛り込んだ。昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞を受け、「燃え上がる若い人たちがいます。信じております」との思いも込めた。
原爆手記の収集、整理に取り組む「ヒロシマ通信」研究会とまとめた。会は昨年、阿部さんから14回聞き取り、関連資料に当たった。A5判204ページ。全国の公設図書館などに贈呈。会のウェブサイトに今後掲載する。
阿部さんは13日、入居する高齢者施設で報道各社の取材に応じた。「わがままだが、1冊の本で80年の苦節はなかなか伝わらない。書かれていることの裏を考えながら読んでほしい」と望んだ。(下高充生)
(2025年2月14日朝刊掲載)
題名は「被爆者 阿部静子は語る」。建物疎開作業中に爆心地から約1・5キロで被爆。大やけどを負って顔や手にケロイドが残り、「うつむいて傷が見えないように」暮らした日々を記した。
国に救済を求めて国会議員へ請願したり、県被団協、日本被団協が組織されたりした時期の記憶も盛り込んだ。昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞を受け、「燃え上がる若い人たちがいます。信じております」との思いも込めた。
原爆手記の収集、整理に取り組む「ヒロシマ通信」研究会とまとめた。会は昨年、阿部さんから14回聞き取り、関連資料に当たった。A5判204ページ。全国の公設図書館などに贈呈。会のウェブサイトに今後掲載する。
阿部さんは13日、入居する高齢者施設で報道各社の取材に応じた。「わがままだが、1冊の本で80年の苦節はなかなか伝わらない。書かれていることの裏を考えながら読んでほしい」と望んだ。(下高充生)
(2025年2月14日朝刊掲載)