×

ニュース

[戦後80年 遺構を巡る 芸南賀茂] 亀山神社のこま犬(呉市清水) 呉空襲 熱波で一部変形

 呉市清水の亀山神社に、米軍による呉空襲の激しさを伝えるこま犬がある。当時の戦禍を物語る貴重な「生き証人」だ。

 宮司の太刀掛祐之さん(58)によると、こま犬は境内に現存する8体の中で最古のものだ。1945(昭和20)年7月、こま犬の隣にあった絵馬殿に焼夷(しょうい)弾が直撃して全焼。こま犬にも熱波が及んだ。熱に弱い花こう岩で作られており、一部が変形。台座にも亀裂が入った。

 2020年、老朽化する建物の一部が修繕され、こま犬が座る台座も新しくなった。ただ、太刀掛さんは傷痕が残る縦約60センチ、横約1メートルの台座は、こま犬のそばにあえて展示することにした。「戦争の無残さを伝えたい」との思いからだ。

 台座の隣には説明板も設けた。現在は、歴史巡りをする市民グループの立ち寄りスポットにもなっているという。太刀掛さんは「戦争の記憶を伝える遺構は老朽化が進んでいる。呉空襲について考えるきっかけになるよう残していきたい」と話した。(開沼位晏)

(2025年2月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ