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核禁会議 不参加を表明 外相「平和と安保に支障」

 岩屋毅外相は18日の記者会見で、米ニューヨークの国連本部で3月3~7日にある核兵器禁止条約第3回締約国会議に政府としてオブザーバー参加しないと表明した。日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを一因に挙げ、オブザーバー参加によって「平和と安全の確保に支障を来す恐れがある」と述べた。(宮野史康、中川雅晴)

 石破茂首相はオブザーバー参加について日本と同じ米国の「核の傘」の下にあるドイツなど過去の参加国の事例を調べたが、歴代政権と変わらず不参加となった。一時検討した自民党所属議員の派遣も岸田文雄前首相ら党重鎮の意向を受け、断念している。戦争被爆国の「歴史的責務」を踏まえると繰り返してきた石破政権の姿勢が問われる。

 岩屋氏は日本の周辺で「核軍拡が進んでいる」と強調。「核抑止政策について誤ったメッセージを与える」とも述べた。過去にオブザーバー参加したドイツなどが会議で、「安全保障政策と相いれない。締約国になることはない」などと核兵器禁止条約に後ろ向きな姿勢を表明した点も指摘した。

 首相は昨年9月の自民党総裁選中に、オブザーバー参加を「選択肢の一つ」と発言。首相就任後の10月には「真剣に考える」と踏み込んだ。昨年末からは、過去のオブザーバー参加国の事例を検証していた。

 核兵器禁止条約にはこれまで73カ国・地域が批准した。被爆80年の節目に少なくとも締約国会議にオブザーバー参加するよう、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協や、広島市の松井一実市長、公明党の斉藤鉄夫代表らが1月以降、相次いで首相に要請していた。

 斉藤氏は政府の発表を受け、「参加見送りの決定がなされたことは誠に残念でならない。なぜ見送りの判断に至ったのか丁寧な説明を求めたい」などとするコメントを出した。

(2025年2月19日朝刊掲載)

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