全被爆者の体験募る 被爆80年で厚労省方針 次世代継承へ 30年ぶり
25年2月19日
厚生労働省は2025年度、国内に住む全ての被爆者から体験記を募る方針を固めた。被爆80年の節目に合わせて悲惨な記憶を改めて掘り起こし、次世代に継ぐ狙い。全被爆者に呼びかける体験記の収集は1995年度以来、30年ぶり。
厚労省によると、被爆者健康手帳を持つ国内の被爆者を対象にする。広島、長崎への原爆投下時の出来事やその際の思いを書いてもらう。寄せられた体験記は広島、長崎にそれぞれある国立原爆死没者追悼平和祈念館がとりまとめ、館内で閲覧できるようにする。
全国の自治体を通じ、被爆者の健康診断の案内に合わせて調査票を送る方法などを検討している。厚労省は「被爆者がいなくなる時代が近づいている。被爆の実態をしっかり次世代に伝えていきたい」としている。
95年度は約32万人の被爆者に呼びかけ、約8万人から回答を得た。続く05年度と15年度は被爆者を抽出して依頼した。今回は全数調査に切り替え、26年度以降も続ける考えだ。65年度に始め、10年ごとに暮らしぶりなどを訪ねてきた「被爆者実態調査」は高齢の被爆者にかける負担などを考慮し、取りやめる。
日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(92)は「証言の掘り起こしにつながる。これまでの体験記と合わせてデジタル化し、国内外で幅広く活用してもらいたい」と歓迎している。
厚労省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者は昨年3月末時点で初めて11万人を下回り、10万6825人となった。平均年齢は過去最高の85・58歳となっている。(宮野史康)
(2025年2月19日朝刊掲載)
厚労省によると、被爆者健康手帳を持つ国内の被爆者を対象にする。広島、長崎への原爆投下時の出来事やその際の思いを書いてもらう。寄せられた体験記は広島、長崎にそれぞれある国立原爆死没者追悼平和祈念館がとりまとめ、館内で閲覧できるようにする。
全国の自治体を通じ、被爆者の健康診断の案内に合わせて調査票を送る方法などを検討している。厚労省は「被爆者がいなくなる時代が近づいている。被爆の実態をしっかり次世代に伝えていきたい」としている。
95年度は約32万人の被爆者に呼びかけ、約8万人から回答を得た。続く05年度と15年度は被爆者を抽出して依頼した。今回は全数調査に切り替え、26年度以降も続ける考えだ。65年度に始め、10年ごとに暮らしぶりなどを訪ねてきた「被爆者実態調査」は高齢の被爆者にかける負担などを考慮し、取りやめる。
日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(92)は「証言の掘り起こしにつながる。これまでの体験記と合わせてデジタル化し、国内外で幅広く活用してもらいたい」と歓迎している。
厚労省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者は昨年3月末時点で初めて11万人を下回り、10万6825人となった。平均年齢は過去最高の85・58歳となっている。(宮野史康)
(2025年2月19日朝刊掲載)