広島大本営 防空作戦室 仮想・拡張現実で再現へ 広島市検討
25年2月21日
広島市は20日、国史跡広島城跡(中区)に残る広島大本営跡と被爆建物の中国軍管区司令部跡(旧防空作戦室)について、デジタル技術を使って往時の様子を再現する検討を進めていると明らかにした。旧日本軍の遺構に光を当てることで、米軍による原爆投下につながる軍都の歴史を伝える。(野平慧一)
市によると、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)などの技術を使って往時を映像で再現し、疑似体験できる仕組みを想定。被爆前と後の広島の歴史を体験できる空間づくりを目指す。市内の他の原爆関連遺構とも連携し、平和をテーマとした観光「ピースツーリズム」の促進を図る。
大本営は旧日本軍の最高統帥機関として、日清戦争が始まった1894年に設置された。明治天皇が戦争指揮のため、広島に滞在するなど広島が臨時の首都機能の役割を果たした。洋風の木造建築の建物は原爆で破壊され、現在は礎石が残る。
旧防空作戦室は、鉄筋コンクリート製で半地下構造の被爆建物。学徒動員された比治山高等女学校(現比治山女子中高)の生徒が原爆による広島壊滅の「第一報」とされる情報を発した。安全上の理由で2017年度に一般公開を中止。市は改修や保存、再公開に向けて所有する国と検討を進めていく方針。
この日の市議会本会議の総括質問で市の担当者が説明した。両施設の保存と活用は、市が20年5月にまとめた広島城の将来像を示した基本構想に盛り込んでいる。市文化振興課は「原爆投下に関する歴史を刻む拠点の一つ。重層的な歴史を体感できる場として検討していく」としている。
(2025年2月21日朝刊掲載)
市によると、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)などの技術を使って往時を映像で再現し、疑似体験できる仕組みを想定。被爆前と後の広島の歴史を体験できる空間づくりを目指す。市内の他の原爆関連遺構とも連携し、平和をテーマとした観光「ピースツーリズム」の促進を図る。
大本営は旧日本軍の最高統帥機関として、日清戦争が始まった1894年に設置された。明治天皇が戦争指揮のため、広島に滞在するなど広島が臨時の首都機能の役割を果たした。洋風の木造建築の建物は原爆で破壊され、現在は礎石が残る。
旧防空作戦室は、鉄筋コンクリート製で半地下構造の被爆建物。学徒動員された比治山高等女学校(現比治山女子中高)の生徒が原爆による広島壊滅の「第一報」とされる情報を発した。安全上の理由で2017年度に一般公開を中止。市は改修や保存、再公開に向けて所有する国と検討を進めていく方針。
この日の市議会本会議の総括質問で市の担当者が説明した。両施設の保存と活用は、市が20年5月にまとめた広島城の将来像を示した基本構想に盛り込んでいる。市文化振興課は「原爆投下に関する歴史を刻む拠点の一つ。重層的な歴史を体感できる場として検討していく」としている。
(2025年2月21日朝刊掲載)