×

ニュース

「核実験被害の解明と補償を」 ビキニデー 原水協など集会

 米国による中部太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で、静岡県焼津市のマグロ漁船第五福竜丸などが被曝(ひばく)して71年の1日、日本原水協が中心となり、焼津市で集会を開いた。参加者たちは米国や英国、フランスが太平洋で繰り返した核実験の被害は未解明だと指摘。被害者の補償を訴えた。

 市民団体「太平洋核被災支援センター」(高知県宿毛市)の浜田郁夫共同代表が登壇。ビキニ水爆実験に遭ったのは高知県のマグロ漁船を含む千隻に上り、被曝した乗組員は2万人を超えるとの見方を示した。国に補償を求めて訴訟を起こしており、「これまでの核政策を許すのか、核のない平和な世界に進むのかという重要な裁判だ」と主張した。

 元日本大准教授の野口邦和さん(放射線防護学)は米英仏の核実験に触れ「被害者の多くは先住民や社会的弱者で、根底には差別の思想がある」と指摘した。その上で、加害国や日本政府は被害を隠してきたと批判。「過去の愚行に目を閉ざし、再び愚行を繰り返してはならない」と強調した。集会には約1300人が訪れた。(宮野史康)

(2025年3月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ