×

ニュース

水爆実験71年 静岡で集会

 米国のビキニ水爆実験で第五福竜丸などが被曝して1日で71年となるのを前に、原水禁国民会議と日本原水協が28日、静岡市でそれぞれ集会を開いた。「事件は一生の重荷」という乗組員の苦悩を遺族が吐露。3日に始まる核兵器禁止条約第3回締約国会議へオブザーバー参加しない日本政府への抗議の声も相次いだ。

 原水禁などの集会には約180人が参加した。第五福竜丸漁労長だった見崎吉男さん(2016年に90歳で死去)の長女杉山厚子さん(73)=静岡県焼津市=が登壇。被曝し、見舞金を受け取った乗組員へのねたみや中傷に、見崎さんが「事件は一生の重荷」と苦しんでいたと明かした。「抗議が日本政府でなく乗組員に向かったのがやりきれない」と振り返った。

 講演した原水禁の金子哲夫共同議長は禁止条約に言及。加盟国数が伸び悩む中、「日本の批准は各国に批准を促す」と日本政府へ働きかける必要性を強調した。

 原水協の集会では、安井正和事務局長が約600人を前に、米国の「核の傘」への固執が日本政府の不参加の背景にあるとし「核抑止論の打破」を呼びかけた。広島県被団協の佐久間邦彦理事長(80)は「日本被団協のノーベル平和賞受賞を運動の力にして政府に禁止条約の署名、批准を求める」と訴えた。(宮野史康)

(2025年3月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ