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核戦争のリスク討論 NY 核禁条約会議開幕 被害者援助「基金」検討も

 核兵器禁止条約の第3回締約国会議が3日、米ニューヨークの国連本部で開幕。各国の政府代表に加え、非政府組織(NGO)の関係者や被爆者たちが参加し、核戦争が多方面に及ぼすリスクなどをテーマ別に討論する。最終日の7日に、宣言や報告書の合意を目指す。(ニューヨーク発 金崎由美)

 議長はカザフスタンのラクメトリン外務副大臣が務める。初日は各国の政府代表や日本被団協の浜住治郎事務局次長(79)が演説。核使用を伴う紛争が人類にもたらすリスクと結末などをテーマに意見を述べ合う。

 会期中はほかに、核抑止を否定する禁止条約の理念を広めて参加国を増やす「普遍化」や、締約国間で協力して被害者援助や環境修復をする方策を議論する。援助に必要な資金を巡り、国際信託基金の設立に向けた検討も焦点になる。

 広島からはNGOや市民団体メンバー、国会議員、高校生平和大使たちが現地入りした。会議と同時並行で開かれる関連イベントに出席するほか、一部は議場で発言する予定だ。

 2017年のNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))に次いで、24年に日本被団協がノーベル平和賞を受賞。被爆者への関心や廃絶への機運を高めた。一方、ウクライナ情勢を巡り、トランプ米大統領たちの発言が各国に動揺を与えるなど、世界の分断が一層色濃くなる中での開催となる。

 締約国は73カ国・地域で、署名国を合わせると94カ国・地域。核兵器を持つ9カ国や、米国の核抑止に依存する日本は未署名・未加盟で、オブザーバー参加も見送った。禁止条約は発効(21年)から5年後に「検討会議」を開くと規定しており、今回はそこに向けた取り組みを展望する機会にもなる。

(2025年3月4日朝刊掲載)

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