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友情の書画 古里で展示を 本川小卒業生ら

■記者 水川恭輔

 広島市中区の本川小の卒業生たちが、61年前に米国ワシントンの教会に贈った絵と書の「里帰り」を進める会を結成した。絵と書は、被爆後の広島の物資不足を知った米国人から届いた文房具への返礼だった。31日の初会合では、来年8月6日前後の展示会の実現を誓い合った。

 絵と書は今も、米ワシントンの教会が48作品を所蔵する。路面電車に復興の兆しがみえる原爆ドーム周辺、ブランコで児童が遊ぶ様子、桜並木やこいのぼり…。色とりどりの絵の具やクレヨンで生き生きと描かれている。舞台芸術家重藤静美さん(56)=米国在住=が復興期の知られざる日米交流として注目し、2006年から記録映画の制作を進めている。

 同小であった初会合には、絵を描いた卒業生や撮影に訪れた重藤さん、市民有志たち計約20人が出席。重藤さんたちが、作品の貸し出しを受けられる、との見通しを報告した。

 3日には広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長を訪ね、原爆資料館を会場に無料で使用できるかを相談する。教会関係者の招致も検討。作品の輸送費をどう負担するかなど、公的助成制度の活用を含めた資金計画を練る。

 絵を描いた一人で実行委員長のすし店経営東川源治さん(71)=中区=は「60年以上前の絵が今も米国に残るのは奇跡。里帰りを実現させ、子どもに当時の交流を伝えたい」と心待ちにしている。

(2009年8月1日朝刊掲載)

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