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[核兵器禁止条約 第3回締約国会議] 科学的にリスク提示を 3日目発言相次ぐ「抑止依存 人類の危険」

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核兵器禁止条約の第3回締約国会議は3日目の5日、加盟国を増やす「普遍化」を議題に取り上げた。核抑止に安全保障を依存する国に対し、核兵器が人道上のリスクであると科学的に示す必要があるとの意見が出た。(ニューヨーク発 金崎由美)

 普遍化を定めた12条の在り方などを議論。オーストリアは「核兵器が人道上のリスクだと示す科学的知見と、実際は核兵器こそが国際安全保障を損なわせているという認識を深めなければならない」と訴えた。

 会期中に他にも科学を強調する発言があり、傍聴している長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の河合公明教授(国際人道法)が分析。核兵器は非人道的との主張に背を向ける国に対し、核兵器に依存しない安全保障が真に有効であり、核兵器依存こそ実態を欠く政策だと立証する意図を感じるという。

 普遍化については一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」の浅野英男さん(28)も、先月東京であった国際市民フォーラムでまとめた提案書を説明。被爆者たちの証言活動の支援強化などを求めた。

 この日は一般討論の続きもあり、平和首長会議(会長・松井一実広島市長)が発言。副会長都市ドイツ・ハノーバーのベリット・オーナイ市長は「核抑止によって核戦争が起こらなかった証拠はどこにもなく、むしろ人類を危険にさらしている」と強調した。

 会議は会期を折り返したが、オブザーバー参加するとみられていたノルウェーが現れず、北大西洋条約機構(NATO)諸国はゼロとなり、影を落とす。非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の川崎哲(あきら)国際運営委員(56)は「核抑止依存という本質的な問題に、これまで以上に取り組むべきだと明確になった」と話している。

(2025年3月7日朝刊掲載)

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