被爆80年 音楽で希望表現 首席チェロ奏者 スタンツェライトさん カルテットで平和活動続ける
25年3月27日
ドイツ出身のマーティン・スタンツェライトさん(53)は1998年から広響首席チェロ奏者を務め、自らの呼びかけで結成した弦楽四重奏団では平和活動にも取り組む。「世界は困難な状況。こんな時こそ、音楽で希望を表現したい」。被爆80年の今年に懸ける思いを聞いた。
昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞で、広島が世界中から注目され、広響にしかない音楽がいつにも増して求められているように感じる。
開幕プログラムの1曲、ヤナーチェク「シンフォニエッタ」は傑作で、個人的にも大好き。昨年就任したアルミンク音楽監督は団員とのリラックスした対話によって、開放的な音色を引き出す。聴衆の前向きな気持ちを呼び起こすはずだ。
6月の定演で迎えるシュトイデは、初協演から12年の仲になる。同じドイツ出身で同い年。世界トップ級のオーケストラのコンサートマスターと思えないほど気さくで瞬く間に意気投合した。おなじみの弾き振りも、団員と対等な立場で音をつくるからこそ彩り豊かになる。
2019年に広響の仲間たちと結成した「ネリオンカルテット」は、原爆投下後の焦土に咲いたキョウチクトウ(ネリオン)にちなんだ。結成2年目からは長崎市で毎年コンサートを開いている。客席には被爆者の方々もおられ、体験を聞かせてもらった。22年にはドイツ公演がかない、日本でいう中高生たちを前に演奏した。特別授業もセット。ヒロシマの映像や写真を見せ、今の世界情勢について議論した。
長崎やドイツでの出会いに、対話の場をつくることの大事さを教わった。言葉や文化の違いはあっても、音楽で心は通じる。常に聞き手と同じ目線に立ち、一つ一つのステージに臨みたい。(聞き手は木原由維)
マーティン・スタンツェライト
1971年、ドイツ南部バンベルク市生まれ。95年、エッセン国立音楽大卒。ドイツやデンマークのオーケストラで活動し、98年、広島交響楽団首席チェロ奏者に就任。広島市安芸区在住。
(2025年3月27日朝刊掲載)
昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞で、広島が世界中から注目され、広響にしかない音楽がいつにも増して求められているように感じる。
開幕プログラムの1曲、ヤナーチェク「シンフォニエッタ」は傑作で、個人的にも大好き。昨年就任したアルミンク音楽監督は団員とのリラックスした対話によって、開放的な音色を引き出す。聴衆の前向きな気持ちを呼び起こすはずだ。
6月の定演で迎えるシュトイデは、初協演から12年の仲になる。同じドイツ出身で同い年。世界トップ級のオーケストラのコンサートマスターと思えないほど気さくで瞬く間に意気投合した。おなじみの弾き振りも、団員と対等な立場で音をつくるからこそ彩り豊かになる。
2019年に広響の仲間たちと結成した「ネリオンカルテット」は、原爆投下後の焦土に咲いたキョウチクトウ(ネリオン)にちなんだ。結成2年目からは長崎市で毎年コンサートを開いている。客席には被爆者の方々もおられ、体験を聞かせてもらった。22年にはドイツ公演がかない、日本でいう中高生たちを前に演奏した。特別授業もセット。ヒロシマの映像や写真を見せ、今の世界情勢について議論した。
長崎やドイツでの出会いに、対話の場をつくることの大事さを教わった。言葉や文化の違いはあっても、音楽で心は通じる。常に聞き手と同じ目線に立ち、一つ一つのステージに臨みたい。(聞き手は木原由維)
マーティン・スタンツェライト
1971年、ドイツ南部バンベルク市生まれ。95年、エッセン国立音楽大卒。ドイツやデンマークのオーケストラで活動し、98年、広島交響楽団首席チェロ奏者に就任。広島市安芸区在住。
(2025年3月27日朝刊掲載)