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[被爆80年 県北] 甲奴で奏でる被爆ピアノ 「平和の種まき」 市民ら29人出演

 広島で被爆したピアノを市民たちが奏でるコンサートが、三次市甲奴町のジミー・カーターシビックセンターであった。被爆ピアノの修復に励む広島市安佐南区の調律師矢川光則さん(72)をモデルにした映画にも登場するピアノ。80年前の「あの日」を刻む音色に約230人が聞き入った。

 ピアノは爆心地から約1・5キロの現広島市中区の民家で被爆。持ち主の男性から2014年に寄贈を受けた矢川さんが音色をよみがえらせた。

 22日のコンサートには、未就学児から70代までの20組計29人が出演。ベートーベンのピアノソナタ「悲愴(ひそう)」や日本の「さくらさくら」などを奏でた。甲奴小5年仲間陸さん(11)は妹の同小1年鈴さん(7)、母の沙弥香さん(43)と連弾を披露。「原爆で亡くなった人たちに思いを寄せて弾いた」と話した。

 映画「おかあさんの被爆ピアノ」も上映し、五藤利弘監督(56)と矢川さん、映画への出演と主題歌を担ったシンガー・ソングライター南壽(なす)あさ子さん(36)が対談。矢川さんは「平和は一人一人がつくっていくもの。その種まきができた」とほほ笑んだ。

 同センターの開館30年と被爆80年を踏まえて開催。町民たちでつくる実行委員会が企画した。(林淳一郎)

(2025年3月31日朝刊掲載)

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