朝凪(あさなぎ) 「店主不在」に染みた酒
25年4月1日
帰りの寄り道が増えた。2月までいた柳井支局は2階が仕事場、3階が自宅。通勤は5秒もかからない。広島へ4年ぶりに戻り、今は混み合う路面電車で20分ちょっと。運賃も高くなったからと歩くと、つい赤ちょうちんに引き寄せられる。
行きつけだった西広島駅近くの居酒屋ののれんを久々にくぐった。店頭には「店主不在」の張り紙が。おかみさんに尋ねると、大将は1カ月前、病気で倒れて救急車で運ばれたそうだ。復帰を目指してリハビリに励んでいると聞いて安心した。
とっくりを傾けながら、この4年の時の流れを思った。かつて取材した被爆者やゆかりの人もずいぶん亡くなった。会って夢中で話を聞いたあの瞬間が最後になった。あすの取材もそうなるかもしれない。心に留めて店を出た。(平和メディアセンター・山本祐司)
(2025年4月1日朝刊掲載)
行きつけだった西広島駅近くの居酒屋ののれんを久々にくぐった。店頭には「店主不在」の張り紙が。おかみさんに尋ねると、大将は1カ月前、病気で倒れて救急車で運ばれたそうだ。復帰を目指してリハビリに励んでいると聞いて安心した。
とっくりを傾けながら、この4年の時の流れを思った。かつて取材した被爆者やゆかりの人もずいぶん亡くなった。会って夢中で話を聞いたあの瞬間が最後になった。あすの取材もそうなるかもしれない。心に留めて店を出た。(平和メディアセンター・山本祐司)
(2025年4月1日朝刊掲載)