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今月 臨界前核実験 米計画 第2次トランプ政権初

 米国が今月中に西部ネバダ州の核実験場内にある地下施設で臨界前核実験を計画していることが2日までに分かった。米保有核を管理するエネルギー省核安全保障局(NNSA)が中国新聞の取材に明らかにした。昨年5月に続いて通算35回目で、第2次トランプ政権では初となる。

 NNSAによると、核弾頭の安全性や有効性を確かめるための「ニンブル(敏捷(びんしょう))」と呼ぶ実験の一環で、昨年5月にも実施している。第2次トランプ政権下でも一連の実験を引き継ぐとみられ、NNSAは11月以降に36回目を予定していると説明した。

 米国は、臨界前核実験をオバマ政権時(2009~17年)に4回、第1次トランプ政権時(17~21年)に3回実施した。同じく3回実施したバイデン政権時(21~25年)に、NNSAは「20年代末までに年3回程度」と、頻度を上げる意向を表明している。背景には核弾頭の中枢部分「プルトニウム・ピット」の経年変化への懸念などがあるとされる。

 トランプ大統領は、第1次政権時に「使える核兵器」と称される小型核の開発を推進。ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約を失効させ、核弾頭の運搬手段にもなる中距離ミサイルの開発を本格化した。第2次政権でも、核弾頭数を増やす中国に対抗し、核開発を進める懸念がある。

 米国は爆発を伴う核実験を禁じる包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していないが、1992年から地下核実験を一時停止した。一方、97年からプルトニウムなど核物質を使いつつ核爆発は起こさない臨界前核実験を進めている。臨界前核実験はCTBTに抵触しないが条約の精神に反するとの批判がある。(小林可奈)

(2025年4月3日朝刊掲載)

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