×

ニュース

日鉄呉跡地の取得費計上 26年度予算案で防衛省検討 測量・売買条件交渉へ

 防衛省が、呉市の日本製鉄(日鉄)瀬戸内製鉄所呉地区跡地への複合防衛拠点の整備案を巡り、2026年度予算案に跡地約130ヘクタールの取得費を盛り込む方向で検討していることが4日、分かった。本年度から航空測量と整備施設の具体的な検討を進め、日鉄と売買条件を詰める。

 複数の関係者が明らかにした。跡地について防衛省は早期の一括購入を希望している。3月31日にあった防衛省、広島県、呉市、日鉄の4者協議で、日鉄も具体化に向けた防衛省との協議に前向きな考えを示した。

 防衛省は25年度予算に調査費4億6千万円を計上し、施設の配置や規模を検討する。併せて、土地の評価額を算出し、地下の埋設物や土壌汚染の処理といった売買条件の交渉を進める方針。日鉄と夏までに合意すれば、26年度予算案の概算要求に取得費を盛り込む考えだ。

 4者協議では拠点の機能配置案を提示した。12エリアに分け、防衛装備庁の研究施設と民間企業▽無人機の製造・整備施設▽火薬庫▽市民に開放する運動場▽大型の艦船が接岸できる岸壁―などを置くとした。

 一方、県と呉市は跡地を産業用地として活用する案も検討し、エネルギー、デジタル、造船の3分野を候補に挙げる。

 政府は、25年度当初予算に防衛費を過去最大の8兆7005億円計上した。27年度までの5年間で約43兆円を投じ、関連経費と合わせて国内総生産(GDP)比2%とする目標を掲げている。(宮野史康)

複合防衛拠点の整備案
 防衛省が2024年3月に発表した。呉市の日本製鉄(日鉄)瀬戸内製鉄所呉地区跡地約130ヘクタールを一括購入し、装備品の整備・製造基盤、部隊の活動基盤、港湾―の3機能を備える。完成時期は決まっていない。

(2025年4月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ