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広島市長 今年も教育勅語 職員研修講話 12年から毎年引用

 広島市の松井一実市長は8日、中区のJMSアステールプラザであった新規採用職員研修で戦前の教育勅語の一部を引用した資料を使って講話した。市長就任翌年の2012年から毎年、引用を継続している。

 研修は非公開で約330人が参加。資料では教育勅語の「爾(なんじ) 臣民 兄弟に 友に」と博愛の尊さなどを説く部分を英訳付きで引いた。「先輩が作り上げたもので良いものはしっかり受け止め、後輩に繋(つな)ぐことが重要」と併記している。

 昨年に続き、平和主義を掲げた憲法前文も説明し、大日本帝国憲法との比較資料も添えた。

 研修を終えた職員は取材に「ちょっと違和感があった」「特に気にならなかった」などと受け止めを語った。

 教育勅語は軍国主義教育に結びついた経緯があり、引用には市民団体などから批判の声がある。市は見解が分かれる物事を多面的に捉える大切さを伝える一例として取り上げていると説明。松井市長は昨年4月の記者会見で「現憲法下では到底認められないが、内容には今も大事にしていることが書いてある」と述べている。(樋口浩二)

(2025年4月9日朝刊掲載)

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