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群像劇で迫る「黒い雨」 劇団ハトノスの「Pica」 広島で7月11・12日

主宰の青木さん「一人一人の息遣い表現」

 広島市安芸区出身の青木文太朗さん(30)が主宰する劇団「ハトノス」が、演劇「Pica(ピカ)」を7月11、12日、中区のJMSアステールプラザで上演する。原爆投下後に降った「黒い雨」の歴史と記憶をさまざまな立場から描く群像劇だ。「黒い雨に関わる人にはそれぞれの葛藤、距離感がある。一人一人の息遣いを演劇で表現してみたい」と語る。

 青木さんは大学進学で上京し、演劇活動を本格化。2018年にハトノスを発足し、広島の原爆の記憶を扱う作品を作ってきた。脚本、演出に加えて照明、音響、映像まで幅広く手がける。

 脚本の執筆には、元毎日新聞記者で黒い雨訴訟に関する著作がある広島市在住のジャーナリスト小山美砂さん(30)の協力を得た。「光が当たりにくいテーマを今日までつないできた人々の存在を知った。同世代の小山さんが力を注いでいることにも刺激を受けた」と青木さん。関係者の証言や裁判の流れを参考にした。

 24年に東京で初演。出演者から「広島で再演したい」と声が上がり、脚本を再構成して古里での上演に挑む。「19歳まで広島で暮らしていたが、原爆について深く考えるようになったのは広島を離れてから」と振り返る。「戦争を扱う演劇が苦手な人にも身近に感じてもらえる作品を心がけてきた。距離感を解きほぐすきっかけになればうれしい」

 出演は和田響き、山中宏明、木の下敬志、林揚羽たち。11日午後7時、12日正午と午後5時からの3回公演。一般3千円、学生1500円。ハトノス公式ホームページで予約を受け付けている。(渡辺敬子)

(2025年4月19日朝刊掲載)

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