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旧海軍施設 精巧ジオラマ 安芸区の瀬野公民館に松本さん作品 戦後80年 展示機に証言も

 広島市安芸区瀬野地区と東広島市志和町の境界の山頂部にあった旧日本海軍の防空施設「中野村聴測照射所」のジオラマが、瀬野公民館で見られる。瀬野川流域郷土史懇話会メンバーの会社員松本幸男さん(60)=瀬野南=が手作りし、1年前から展示。戦後80年の節目に合わせて「戦争の痕跡が身近にあったことを知るきっかけになれば」と願う。(石川昌義)

 発泡スチロールを削ったジオラマは縦40センチ、横60センチ、高さ20センチで、実際の500分の1サイズ。今も外観をとどめるコンクリート造りの司令棟や、兵舎、発電棟の土台など現地の遺構を基に位置関係を再現した。米軍機の飛行音を探る聴音機や、機影を探す探照灯の場所も示している。

 地元で「海軍山」と呼ばれる標高約500メートルの山頂付近に残る遺構や登山道は、志和町側の住民が案内板を設置するなど整備している。実際に山を歩いて確認した松本さんは2023年10月、公民館のイベントを機にジオラマ作りに挑んだ。鉄道模型作りが趣味の長男と一緒に仕上げて、24年3月から公民館ロビーに常設している。

 そりを馬に引かせて資材を運んでいた逸話を昔の従業員から聞いた―。展示を機に、瀬野で工務店を営む人から、そんな声も寄せられたという。松本さんは「ジオラマをきっかけに資料や証言が集まっている」と手応えを感じている。

(2025年4月19日朝刊掲載)

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