[戦後80年 芸南賀茂] 豪高校生、呉で平和学ぶ 進駐軍ゆかりの場所や戦跡巡る
25年4月25日
「戦争花嫁」 差別の歴史も
平和について学ぶオーストラリアの高校生たちが、第2次世界大戦後に英連邦軍の一員として同国の軍人たちが多く進駐した呉市を訪れた。進駐軍ゆかりの場所や戦跡を見学し、軍人と結婚し、オーストラリアで暮らした「戦争花嫁」への人種差別についても理解を深めた。(開沼位晏)
高校生はオーストラリア各地から選ばれた10人で、平和の築き方を考えるため来日。23日は、呉市の海上自衛隊呉地方総監部を訪れ、英連邦軍が通信隊司令部を置いた旧海軍の「呉鎮守府電話総合交換所」を見学。多くの市民や工員が亡くなった空襲の痕跡を巡った。
戦後、オーストラリアの男性と結婚したチェリー・パーカー(旧名桜元信子)さん(96)が、夫と仲を深めた長浜公園も訪ねた。白豪主義を取り、戦争による反日感情も強かった同国は当初、妻の入国を拒否。このため、2人が何年も離れ離れで暮らしたことや、移住後も偏見に苦しんだことを、地元ガイドに教わった。
英連邦軍が使った旧広海軍工廠(こうしょう)跡にある呉港高の生徒とも交流。長浜公園に地元有志が日豪の親善交流の発展を願って設置したベンチを一緒に囲み、写真撮影する一幕もあった。
リリー・モーゼスさん(16)は「呉で結ばれた戦争花嫁が両国の距離を縮めた。歴史的な場所を訪れることができて感動した。歴史の認識を共有して友好関係を深めたい」と話した。一行は17~27日の日程で来日、被爆地の広島と長崎も訪れた。
(2025年4月25日朝刊掲載)